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バリューチェーンとは。考え方から分析方法、サプライチェーンとの違いまで徹底解説!

By 森本 由紀 |
公開日 2022.11.24

経営戦略やマーケティングを考えるうえで知っておきたいのが、バリューチェーンです。バリューチェーンとは、事業活動を価値の連鎖ととらえる考え方です。顧客満足度を高め、利益を上げるためにバリューチェーン分析が活用されています。本記事ではバリューチェーンについて、分析方法やメリット、業種別の特徴を解説します。

バリューチェーンとはどんな考え方?

バリューチェーンとは英語の「Value Chain」で、直訳すると「価値の連鎖」です。まずは、バリューチェーンの概念を理解しておきましょう。

バリューチェーンの提唱者

バリューチェーンの概念を提唱したのは、アメリカのハーバード・ビジネススクールの教授マイケル・ポーター氏です。ポーター氏は1985年(昭和60年)、著書「競争優位の戦略(Competitive Advantage)」の中でバリューチェーンの概念を提示しました。それ以降、世界中の企業で、経営戦略やマーケティングを考える際のフレームワークとして、バリューチェーン分析が活用されています。

バリューチェーンとは

バリューチェーンやバリューチェーン分析の概念、考え方は、マーケティング初心者にとっては難しく感じるかもしれません。

バリューチェーンとは、企業が行う事業活動を俯瞰して、利益を高めるためにどこに着目したらよいのかを判断するための枠組みです。企業活動を価値創造のための一連の流れととらえ、どの活動にコストをかけて価値を生み出すかを考えます。

バリューチェーンの具体例

お弁当を販売するお店を例に、具体的にバリューチェーンを考えてみましょう。まず、お弁当の原材料を選んで調達する活動が必要です。次に、調達した原材料から調理を行わなければなりません。お弁当の販売が決まったら、お客さんに来てもらえるよう、お店の宣伝も必要です。

こうした事業活動の各段階で、価値を付加できます。バリューチェーンとは、各事業活動の各プロセスで価値を最大化する考え方です。

バリューチェーン分析とは

バリューチェーンの考え方では、企業が生み出す製品やサービスにどのようにして価値が付加されるかに注目します。

バリューチェーンのフレームワークを活用して経営戦略を分析することを、バリューチェーン分析といいます。バリューチェーン分析をすれば、企業の事業活動の中でどこにコストをかけるべきか、どこで価値を生み出すかを具体的に知れるのです。

サプライチェーンとの違い

バリューチェーンと対照的に使われる概念が、サプライチェーンです。バリューチェーンは「価値の連鎖」ですが、サプライチェーンは「供給の連鎖」です。

サプライチェーンでは、モノやサービスにどのような価値が加わっているかはあまり重視しません。サプライチェーンが注目するのは、製品やサービスがどのように供給されるかという流れです。

目的に違いがある

サプライチェーンでは、誰がどの範囲をどのように担当するかに注目します。これに対し、バリューチェーンではどこにコストをかけ、どこで価値を創出するかに焦点を当てるという違いがあります。

バリューチェーンとサプライチェーンは着眼点に違いがあるだけで、どちらも経営戦略にとっては重要です。両方をマーケティングに活用するようにしましょう。

バリューチェーンの構成要素

バリューチェーン分析とは、バリューチェーンに注目して事業活動を分析する手法です。バリューチェーン分析を行うにあたって、企業の事業活動を「主活動」と「支援活動」の2つの要素に分ける必要があります。主活動と支援活動とはどんな活動かを、それぞれみてみましょう。

主活動

バリューチェーンの構成要素の1つが主活動です。主活動とは、製品やサービスを顧客に届けるために欠かせない基本的な活動です。購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスという流れになります。

支援活動

バリューチェーンの構成要素には、支援活動もあります。支援活動とは、製品やサービスを生み出してから顧客に届けるまで、間接的に関係してくる副次的活動です。全般管理(インフラストラクチャー)、人材資源管理(人事・労務)、技術開発、調達などが該当します。

バリューチェーン分析の方法

バリューチェーン分析を行う場合、バリューチェーンを構成する主活動と支援活動を利益と紐づけます。そのうえで最終的な付加価値を大きくするために、どこにコストをかけるかを考えます。バリューチェーン分析をするには、テンプレートを使ったり表にまとめたりしながら、可視化することが大切です。

バリューチェーン分析の具体的な流れをみてみましょう。

自社の企業活動を分類

まずは現状を把握するために、自社の事業活動を分類します。各部署で行っている活動を洗い出し、主活動と支援活動に分類してみましょう。さらに、主活動を購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスといったプロセスに、支援活動を全般管理、人材資源管理、技術開発、調達のいずれかに当てはめていきます。

以下のようなテンプレートを用いて可視化すると、わかりやすいでしょう。

筆者作成

事業活動を分類すれば、プロセスごとの課題やコストを把握しやすくなります。どのプロセスに課題があり、どのプロセスにコストをかけるべきかを可視化できるよう工夫しましょう。

各活動のコストを算出

分類した各プロセスの活動にかかるコストを算出します。担当部署や年間コストを表にまとめて可視化すると、わかりやすいでしょう。全プロセスでかかるコストに対する比率も記載しておくと、分析に役立ちます。

1つのプロセスのコストが上がれば、他のプロセスのコストが下がるような相関関係がある場合にも記録しておきましょう。

自社の強みと弱みを分析

バリューチェーンを可視化した図や表を用いて、自社の各部署の強みや弱みがどのようなところかを分析します。各部署からヒアリングすれば、資料だけでは気付かなかった強みや弱みとは何かを発見できることがあります。

ヒアリングした内容も加えて、自社の強みや弱みを書き出してみましょう。競合他社の強みや弱みも分析し、自社と比較してみると役立ちます。

VRIO分析を行う

バリューチェーン分析では、最後にVRIO(ブリオ)分析を行います。VRIO分析とは、リスクマネジメントでも活用されている分析方法です。

VRIO分析とは

Value(経済)、Rareness(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字をとったものです。VRIO分析とは、企業が有する経営資源を4つの観点から評価し、有効性を判断する方法です。VRIO分析では、経済、希少性、模倣可能性、組織に関する4つの問いにYesまたはNoで回答し、自社の競争優位性を判断します。

  • 経済とは…その経営資源を保有しているか否かで売上が増大するか
  • 希少性とは…その経営資源が業界内で希少性をもつか
  • 模倣可能性とは…その経営資源を模倣するためにコストがかかるか
  • 組織とは…その経営資源を活用するための組織が整っているか

バリューチェーン分析のメリットとは?

バリューチェーン分析を活用すれば、企業の生み出す価値に注目して事業活動を見直せます。バリューチェーン分析のメリットを確認しておきましょう。

利益を高めるポイントがわかる

バリューチェーン分析をすれば、自社の事業活動において、どのプロセスにどの程度のコストがかかっているかを把握できます。

各プロセスのコストがわかれば無駄が生じている部分が明確になり、コスト削減ができるでしょう。プロセスごとの問題点も明らかになり、どのプロセスに注目すれば利益向上につながるかがわかります。

競争力向上に役立つ

バリューチェーン分析を用いれば、自社のみならず競合他社の事業活動も分析できます。競合他社の強みや弱みを把握し、自社と比較することもできるでしょう。バリューチェーン分析の活用により競合他社との違いを発見し、競争力をつけられます。

自社の強みを発見できる

バリューチェーン分析をすれば、事業活動のうちどのプロセスが付加価値を生み出しているかを明確にできます。付加価値を生み出しているプロセスこそが、自社の強みです。

逆に、付加価値を生み出していないプロセスは、自社の弱みと考えられます。自社の強みを強化してそのプロセスに経営資源を集中させれば、さらなる利益向上につながるでしょう。

業種別のバリューチェーン活用事例

ここからは、業種・業界別のバリューチェーン活用事例を紹介します。自社と同業種の企業のバリューチェーン分析を参考にして、自社の強みや付加価値を発見しましょう。

食品

バリューチェーンという観点から経営戦略を考え、実施している食品メーカーは多数あります。食品メーカーでのバリューチェーン活用事例をみてみましょう。

産地開発

食品の場合、産地開発により付加価値を生み出せます。産地との関係を構築・強化すれば、高品質な原材料を安定的に調達できるでしょう。季節や商品に応じた原産地を選択する方法もあります。

販売活動

製造から販売までを自社ですべて担うことで、他社と差別化を図る方法もあるでしょう。食品卸売業者等が介在せず自社の営業担当者が販売活動を行うことで、広告に依存しない販売活動が可能になります。

アパレル

効率的な製造・販売体制の構築、需要に応じた製造量のコントロールによりコストを削減し、独特の価値提供を行っているアパレルブランドがあります。

高品質低価格を実現

大手ファストファッションブランドは、低価格にもかかわらず高品質の製品で価値提供を行っています。特定の顧客層ではなくあらゆる人をターゲットにすることで、競争優位に立っているブランドもあります。

短期間で新製品を開発

製品完成までの期間の短縮化を図ることで、競合他社との差別化が可能です。2週間ごとに新商品を投入するといった価値を提供しているブランドもあります。

家具

インテリア用品や家具を製造・販売している会社では、自社が提供できる付加価値を重視し、低コストで高品質な製品を届ける工夫をしています。

自社内ですべてを完結

大手家具量販店では、商品企画から製造、出荷、販売までの全プロセスを自社で担うSPA方式を導入しています。これによりコストを削減し、常に変化する消費者ニーズに対応した製品の提供が可能になっています。

自社マニュアルを活用し品質を維持

海外工場での生産を行っている家電量販店では、品質を維持するために自社マニュアルを活用しています。コストを抑えながら、高品質な製品を大量生産できる体制を整えているのです。

カフェ

コーヒーを中心とした飲み物、料理を提供しているカフェの中には、独自の強みを持っている店舗が多くなっています。人気カフェやコーヒーショップのバリューチェーンをみてみましょう。

メニュー開発

コーヒーに合うメニューを開発し、顧客にユニークな価値を届けることを目指しているカフェがあります。その店でしか食べられないメニューを作ることで顧客の満足度が高くなり、利益拡大につながります。

誰もが快適に過ごせる空間を提供

カフェは単に飲食をする場所ではなく、くつろぐ場所です。誰もが快適に過ごせるよう、店内のレイアウトやインテリアを工夫して付加価値を生み出す経営戦略もあります。

製造

バリューチェーンのテンプレートに当てはめて分析しやすいのが、製造業です。製造業のバリューチェーンを考えてみましょう。

エンジニアリングチェーンを重視

製造業で付加価値を提供するには、エンジニアリングチェーンを強化しなければなりません。エンジニアリングチェーンとは、企画構想、製品設計、工程・設備設計、生産準備、保守保全といった一連の製造工程の流れです。ECM(Engineering Chain Management)とも呼ばれます。エンジニアリングチェーンは、バリューチェーンの主活動に含まれるものです。

流通機能を強化

製造業で価値提供の中心となるのは、ものづくりです。原材料を適切な価格で調達し、高品質な製品を安定的に供給するための工夫をしなければなりません。さらに、利益を出すためには、販売の工程も見直す必要があります。流通機能の強化も重要です。

まとめ

バリューチェーンとは、企業が事業活動で生み出す付加価値に注目したフレームワークです。バリューチェーン分析を活用すれば、企業の強みや弱みを発見できます。顧客満足度を高め、利益を向上させるために役立てましょう。

経営戦略を立てるには、バリューチェーン分析以外にもさまざまな方法があります。西日本FH Big Advanceは、中小企業の成長を支援するプラットフォームです。経営相談のほか融資の相談もできますので、ぜひ活用してみてください。

>>西日本FH Big Advance

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