
人手不足や業務効率化に課題を持つ中小企業者等にとって、省力化に向けた設備導入やデジタル化は重要な取り組みのひとつです。その際に参考となるのが「省力化ナビ」です。
省力化ナビでは、業種ごとの課題や解決策、具体的な導入事例などを確認でき、自社に合った取り組みを検討できます。
また、補助金申請において、省力化ナビの活用状況は採択審査の加点要件や優先要件として評価される場合があります。
そこでこの記事では、省力化ナビの概要、活用により評価される補助金、活用方法などを解説します。
※記事内容は、令和8年4月26日時点の情報です。最新の情報は、必ず公式HPをご確認ください。
省力化ナビとは

省力化ナビは、省力化・生産性向上につながる具体的な解決策や取り組みを掲載している支援サイトで、独立行政法人中小企業基盤整備機構が令和8年3月26日に公開しました。
省力化に関する業種ごとの取り組み事例や相談先となる支援機関も紹介しており、導入する設備やシステムの検討、費用対効果の整理などに活用できます。
補助金の申請を検討している場合、省力化ナビの活用状況に応じて、採択審査における加点や優先的な取り扱いの対象となるメリットがあります。
活用により加点・優先的な取り扱いの対象となる補助金
ここでは、省力化ナビの活用により、採択審査における加点や優先的な取り扱いの対象となる補助金を紹介します。
1.デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

出典:中小企業デジタル化・AI導入支援事業『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要
掲載ページ:デジタル化・AI導入補助金 公式HP(資料ダウンロード)
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する制度です。
令和7年度補正予算事業から名称を変更し、前制度である「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」となりました。
本補助金では、次の5つの申請類型で公募を実施しています。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠
このうち、複数者連携デジタル化・AI導入枠を除くすべての類型では、交付申請締切日時点において省力化ナビを活用し、生産性向上の知見を確認している場合、採択審査において加点対象となります。
なお、省力化ナビ活用時には、本補助金の申請に用いたGビズIDプライムを入力する必要があります。
本補助金の詳細は、こちらの記事で解説しています。あわせてご確認ください。
▶ デジタル化・AI導入補助金とは?過去公募からの主な変更点や制度概要を解説
参照:デジタル化・AI導入補助金 公式HP
2.中小企業省力化投資補助金(一般型)

出典:中小企業省力化投資補助金 一般型ご案内チラシ
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP(広報ツール)
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等を対象に、省力化投資を支援する制度です。
本補助金では、次の2つの申請類型で公募を実施しています。
このうち、オーダーメイド・セミオーダー性のある設備導入やシステム構築を支援する一般型では、申請締切日までに省力化ナビを活用し、解決策のPDFをダウンロードして生産性向上の知見を確認している場合、採択審査において加点対象となります。
なお、省力化ナビ活用時には、本補助金の申請に用いたGビズIDプライムを入力する必要があります。
申請締切後に解決策のPDFをダウンロードした場合は、加点の対象となりませんのでご留意ください。
参照:中小企業省力化投資補助金(一般型)
3.観光地・観光産業における省力化投資補助事業

観光地・観光産業における省力化投資補助事業は、宿泊業における人手不足や業務効率化への対応として、省力化につながる設備やサービスの導入を支援する制度です。
本補助事業では、省力化ナビを活用した事業者は、事業計画の特定(採択する計画の選定)にあたって優先的に取り扱われます。
省力化ナビで設問に回答し、表示される解決策ページの右上にある「PDFダウンロード」からPDFファイルを出力し、計画申請時に提出する必要があります。
参照:観光地・観光産業における省力化投資補助事業 公式HP
活用ステップ
ここでは、省力化ナビの活用手順を紹介します。
トップ画面の「ここから始める」をクリックし、業種や所在都道府県、従業員数など、診断に必要な事業者の情報を入力します。
選択した業種に応じたイラストが表示されるため、日々の業務で関心のある項目を選択します。複数選択も可能です。
省力化・生産性向上につながる具体的な解決策を選択します。
選択した解決策の取り組み方法や取り組み事例、相談先となる支援機関を確認できます。
なお、補助金の申請を行う場合は、各設問に回答後、表示された解決策ページからPDFをダウンロードする必要があります。
▶チラシデータ
参照:省力化ナビ 公式ページ
掲載されている省力化事例
ここでは、省力化ナビに掲載されている省力化事例のうち、建設業のなかから2例を紹介します。
建設業①:勤怠管理ツールの導入で現場打刻と集計を自動化
官公庁工事を請け負う建設企業では、労働基準監督署の調査において、勤怠管理の是正が求められていました。
具体的には、作業終了後に事務所へ戻って勤怠打刻を行う必要があり、移動の手間や打刻・集計作業の負担が課題となっていました。
また、長時間労働への対応も求められていました。
こうした課題に対し、スマートフォンやカードリーダー、PC入力に対応した勤怠管理ツールを導入し、現場での打刻を可能としました。
その結果、移動時間の削減に加え、打刻情報の自動集計により業務効率が向上しました。
さらに、時間外労働が多い社員に対するアラート機能の活用や勤怠管理の徹底により、長時間労働の抑制や職場環境の改善にもつながっています。
参照事例:勤怠管理ツールで現場打刻、集計を自動化
建設業②:測量機器の導入で1人作業化による業務効率化を実現
官公庁工事を請け負う建設企業では、測量作業において複数人での対応が必要となり、人手や時間の確保が課題となっていました。
具体的には、作業負担が増加し、時間外労働増加の懸念がありました。
こうした課題に対し、自動視準や自動追尾機能を備えた測量機器を導入し、コントローラー操作により1人での測量作業を可能としました。
測定データは電子的に保存され、転記作業も不要となっています。
その結果、測量作業の省人化と時間短縮を実現し、測量補助を含め1現場あたり1~2名の人員削減につながりました。
さらに、余剰人員を他現場へ配置することで業務の効率化が進み、時間外労働の削減や休暇取得の促進にも寄与しています。
まとめ
この記事では、省力化ナビの概要、活用により評価される補助金、活用方法などを解説しました。
省力化ナビでは、業種ごとの課題に応じた解決策や取り組み事例を確認でき、自社の状況に合った省力化の方向性を整理できます。
また、活用状況に応じて補助金の採択審査における加点や優先的な取り扱いの対象となる場合もあるため、設備導入や業務改善を検討する際は、ぜひご活用ください。
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中央大学商学部・グロービス経営大学院卒業(MBA) / 公認会計士及び経営革新等支援機関デロイト トウシュ トーマツ出身。監査法人、飲食チェーンの経営企画、人材大手の社内ベンチャーの事業推進・営業企画を経て、株式会社Staywayに参画。Staywayでは、事業開発、営業、カスタマーサクセス、補助金申請支援に従事。
※本記事の監修者です。
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