働き方改革推進支援助成金とは?5つのコースと令和8年度の主な変更点を解説

働き方の改善に取り組む中小企業事業主を支援する制度のひとつに、働き方改革推進支援助成金があります。
令和8年度は、取り組む内容に応じて5つのコースを設けており、一部のコースで助成内容などを変更しています。
そこでこの記事では、働き方改革推進支援助成金の5つのコースの概要に加えて、令和8年度の主な変更点を解説します。
※記事内容は、令和8年10月2日時点の情報です。翌年度以降の申請を検討される方は、最新情報を公式サイトなどでご確認ください。
働き方改革推進支援助成金とは
「働き方改革推進支援助成金」は、生産性向上に向けた設備投資等の取り組みに係る費用を助成し、労働時間の削減などに向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
令和8年度は、次の5コースを設けています。
● 業種別課題対応コース(対象:建設業、運送業等、情報通信業・宿泊業 等)
● 労働時間短縮・年休促進支援コース
● 勤務間インターバル導入コース
● 取引環境改善コース
● 団体推進コース
業種別課題対応コース


出典:働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・建設業)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)
業種別課題対応コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するコースです。
建設業、運送業等、情報通信業・宿泊業、病院等、砂糖製造業を対象としています。本記事では、建設業に焦点を当てて解説します。
<助成上限額・助成額>
「成果目標」の達成状況に応じて、「改善事業」の実施に要した経費の一部を助成します。
● 助成上限額:選択した「成果目標」に設定された助成上限額に、加算制度における助成上限額への加算額を合計した金額
● 助成額:助成上限額または対象経費の合計額に助成率3/4(※1)を乗じた額のいずれか低い金額を助成します。
※1一定の要件を満たす場合は、助成率4/5
<改善事業(助成対象となる取組)>
1. 労務管理担当者に対する研修(※2)
2. 労働者に対する研修(※2)、周知・啓発
3. 外部専門家によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の整備
5. 人材確保に向けた取組
6. 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
7. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(※2)研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
<活用事例(建設業)>

出典:働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・建設業)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)
建設業では、測量作業と重機操作を効率化し、労働時間を削減するため、測量杭打ち機と重機用センサーユニットを導入した事例があります。
その結果、測量や杭打ち、重機の操作を1人で行えるようになり、1日当たりの作業時間を削減できました。
参照:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)
労働時間短縮・年休促進支援コース


出典:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するコースです。
<助成上限額・助成額>
「成果目標」の達成状況に応じて、「改善事業」の実施に要した経費の一部を助成します。
● 助成上限額:選択した「成果目標」に設定された助成上限額に、加算制度における助成上限額への加算額を合計した金額
● 助成額:助成上限額または対象経費の合計額に助成率3/4(※3)を乗じた額のいずれか低い金額を助成します。
(※3)一定の要件を満たす場合は、助成率4/5
<改善事業(助成対象となる取組)>
1. 労務管理担当者に対する研修(※4)
2. 労働者に対する研修(※4)、周知・啓発
3. 外部専門家によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の整備
5. 人材確保に向けた取組
6. 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
7. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(※4)研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
<活用事例>

出典:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
従前、始業・終業時刻を手書きで記録しており、管理上のミスが多く発生していました。そこで、労務管理用機器やソフトウェアを導入しました。
記録方法をICカードに切り替えた結果、始業・終業時刻を正確に管理できるようになり、業務量の平準化につながりました。
参照:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
勤務間インターバル導入コース


出典:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
勤務間インターバル導入コースは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む中小企業事業主を支援するコースです。
「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設ける制度です。
働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るもので、平成31年4月から、事業主は勤務間インターバル制度の導入に努めることが努力義務となりました。
<助成上限額・助成額>
「成果目標」の達成状況に応じて、「改善事業」の実施に要した経費の一部を助成します。
● 助成上限額:選択した「成果目標」に設定された助成上限額に、加算制度における助成上限額への加算額を合計した金額
● 助成額:助成上限額または対象経費の合計額に助成率3/4(※5)を乗じた額のいずれか低い金額を助成します。
(※5)一定の要件を満たす場合は、助成率4/5
<改善事業(助成対象となる取組)>
1. 労務管理担当者に対する研修(※6)
2. 労働者に対する研修(※6)、周知・啓発
3. 外部専門家によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の整備
5. 人材確保に向けた取組
6. 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
7. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(※6)研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
<活用事例>

出典:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
勤務間インターバル制度を導入するため、新たに機械等を導入し、生産性の向上に取り組みました。
その結果、労働能率が増進し、時間当たりの生産性が向上しました。
参照:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
取引環境改善コース


出典:働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)
取引環境改善コースは、令和8年度に新設したコースです。
荷主集団などが、トラックドライバーの時間外労働の削減に向けて、荷待ち・荷役時間の短縮などの取引環境整備に取り組む場合に、その費用の一部を助成します。
<助成上限額・助成額>
「成果目標」の達成状況に応じて、「改善事業」の実施に要した経費の一部を助成します。
● 助成額:以下のいずれか低い方の額
1. 助成対象経費の合計額
2. 助成上限額:100万円
<改善事業(助成対象となる取組)>
1. 取引適正化への理解促進など、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整
2. 好事例の収集、普及啓発
3. セミナー(※7)の開催など
4. 巡回指導、相談窓口の設置など
5. 運送事業者等が利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新
(※7)勤務間インターバル制度に関する事項を含みます。
<活用事例>

出典:働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)
倉庫事業者や運送事業者等が、荷役業務の効率化を図るため、ハンドリフトを導入しました。
これまで人力で行っていた荷役作業について、一度に運べる荷物の量を増やすことで、ピッキングに係る作業時間を短縮できました。
参照:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)
団体推進コース


出典:働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
団体推進コースは、中小企業事業主の団体やその連合団体が、傘下の事業主の労働条件の改善に向けて、時間外労働の削減や賃金の引上げなどに取り組む場合に、その事業主団体等を助成するコースです。
<助成上限額・助成額>
「成果目標」の達成状況に応じて、「改善事業」の実施に要した経費の一部を助成します。
● 助成額:以下のいずれか低い方の額
1. 助成対象経費の合計額
2. 総事業費から収入額を控除した額(※8)
3. 助成上限額:500万円
(※8)試作品を試験的に販売し、収入が発生する場合などが該当します。
<改善事業(助成対象となる取組)>
1. 市場調査
2. 新ビジネスモデルの開発、実験
3. 材料費、水光熱費、在庫などの費用の低減実験(労働費用を除く)
4. 取引適正化への理解促進など、労働時間などの設定の改善に向けた取引先との調整
5. 販路の拡大などの実現を図るための展示会開催および出展
6. 好事例の収集、普及啓発
7. セミナー(※9)の開催など
8. 巡回指導、相談窓口の設置など
9. 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
10. 人材確保に向けた取組
(※9)勤務間インターバル制度に関する事項を含みます。
<活用事例>

出典:働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)のご案内
掲載ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
事業主団体が、構成事業主に「働き方改革」の取り組みを周知するため、労務管理などに関するセミナーを開催しました。
セミナーでは、36協定の作成手順や労働時間の管理方法などを説明しました。
また、セミナー後も相談窓口を設置し、構成事業主の取り組みを支援したり、セミナー資料をすべての厚生事業主に周知しました。
参照:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
令和8年度の主な変更点
令和8年度は、新たな加算制度の導入や取引環境改善コースの新設など、制度内容を変更しています。主な変更点は、次のとおりです。
変更点 | 内容 | 対象コース |
|---|---|---|
賃上げ加算の倍加措置を追加 | 常時使用する労働者数に応じて、5%・7%以上の賃上げに係る加算額の上限を引き上げ | 業種別課題対応コース、労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース |
割増賃金率加算を新設 | 月60時間以内の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げなどを対象とする加算を新設 | 業種別課題対応コース、労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース |
取引環境改善コースを新設 | 荷主集団等による荷待ち・荷役時間の短縮などを支援 | 取引環境改善コース |
「所定外労働時間の削減」を成果目標に追加 | 業種別課題対応コースの成果目標に所定外労働時間の削減を追加 | 業種別課題対応コース |
勤務間インターバル導入コースの要件を緩和 | 勤務間インターバルの新規導入だけでなく、適用範囲の拡大や休息時間の延長も成果目標に設定可能 | 勤務間インターバル導入コース |
一部の特例・倍加措置を廃止 | 賃上げ加算の従来の加算措置や、団体推進コースの広域的な取組に係る上限額の特例を廃止 | 業種別課題対応コース、労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、団体推進コース |
申請期間・申請方法
令和8年度の交付申請期間は、令和8年4月13日から同年11月30日午後5時までです。
ただし、国の予算額に達した場合は、期限前に受付を終了することがあります。
なお、申請は郵送のほか、電子申請システム「Jグランツ」でも行えます。
まとめ
この記事では、働き方改革推進支援助成金の5つのコースの概要と、令和8年度の主な変更点を解説しました。
各コースで対象となる取り組みや成果目標などが異なるため、自社の取り組みに適したコースを確認し、申請準備を進めましょう。
※renewのサイトポリシー/プライバシーポリシーはこちら。
Writer
株式会社Staywayディレクター 公認会計士
中央大学商学部・グロービス経営大学院卒業(MBA) / 公認会計士 デロイト トウシュトーマツ出身。監査法人、飲食チェーンの経営企画、人材大手の社内ベンチャーの事業推進・営業企画を経て、株式会社Staywayに参画。Staywayでは、事業開発、営業、カスタマーサクセス、補助金申請支援に従事。
※本記事の監修者です。
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