お役立ち

ユースエール認定制度とは?制度概要や認定のメリットを解説

By 浜名 礼奈 |
公開日 2026.04.28
ユースエール認定制度とは?制度概要や認定のメリットを解説

若者の採用や育成に積極的に取り組む企業を国が認定する制度として、ユースエール認定制度があります。

一定の要件を満たした中小企業を対象とする認定制度で、若者が安心して働ける企業を増やすことを目的としています。

認定を受けることで、若手人材の採用時に企業の評価向上につながるほか、一部の地方公共団体が実施する事業で優遇措置の対象となる場合もあります。

そこでこの記事では、ユースエール認定制度の概要や認定を受ける主なメリットなどについて解説します。

※記事内容は、令和8年3月25日時点の情報です。最新の情報は、必ず公式HPをご確認ください。

ユースエール認定制度とは

ユースエール認定制度(事業主向け)のリーフレット

出典:リーフレット ユースエール認定制度(事業主向け)
掲載ページ:厚生労働省 ユースエール認定制度

ユースエール認定制度とは、若者の採用や育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。

離職率や労働時間、雇用管理の状況など、一定の基準を満たす企業を認定の対象としています。なお、本制度は「若者雇用促進法」に基づいて運用されています。

ユースエール認定企業になると、企業は若手人材の採用で信頼性を高め、対外的に企業の魅力をアピールしやすくなります。

また、一部の地方公共団体が実施する事業で優遇措置の対象となることもあり、さまざまなメリットを享受できます。

参考)若者雇用促進法とは

若者雇用促進法とは、「青少年の雇用の促進等に関する法律」の通称です。

この法律は、若者の雇用を促進し、若者がその能力を有効に発揮できる職場環境を整備することを目的として、平成27年10月1日から施行されました。

参照:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について|厚生労働省

認定を受ける主なメリット

ユースエール認定を受けた企業には、資金・採用・ブランディングの各面で大きなメリットがあります。主なメリットは、次のとおりです。

(1)地方公共団体の事業における優遇措置

認定企業は、地方公共団体が実施する補助金、奨励金、融資制度などで優遇措置の対象となる場合があります。

福岡県の例では、久留米市ワーク・ライフ・バランス助成金に申請できます(令和7年度公募は終了、令和8年度の実施は未定)。

この助成金は、従業員のワーク・ライフ・バランス向上に積極的に取り組む市内中小企業等を支援する制度です。

他の地方公共団体においても、若手採用や育成に力を入れる企業を支援する助成制度があり、認定企業は優遇措置を受けられる可能性があります。

(2)公共調達における加点評価

認定企業は、国や自治体が行う公共調達において加点評価の対象となる場合があります。

公共調達とは、行政が公共サービスや事業のために民間企業から物品・サービス・工事などを調達することです。

認定企業は、若手人材の採用・育成に積極的である企業として評価され、入札や契約で有利になる可能性があります。

(3)日本政策金融公庫による低利融資

認定企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を利用する際、基準利率から-0.65%の低利で融資を受けられます。

この融資制度では、業務効率化や生産性向上を図る設備導入、非正規労働者の賃上げ・正社員化、多様な人材活用に取り組む中小企業者等を支援します。

認定企業は、融資審査で優遇措置を受けられるため、資金調達がスムーズになり、設備投資や働き方改革を計画的に進めやすくなります。

(4)認定ロゴマークの使用

認定企業は、自社ホームページや名刺、パンフレットなどにユースエール認定ロゴマークを掲載できます。

これにより、採用候補者や取引先に対して、企業の信頼性や若手育成への取り組み姿勢を客観的に示すことができ、企業のブランディングに役立ちます。

(5)ハローワーク等での重点PR

認定企業は、「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などの若者向け支援拠点で積極的にPRされます。

また、厚生労働省運営の「若者雇用促進総合サイト」に企業情報を掲載できます。

このサイトは、求職者が、若者雇用促進法に基づき職場情報を提供する企業を検索できるデータベースです。

自社の情報を掲載することで、広く取り組みや魅力を発信でき、若者からの応募が増え、採用活動の効率化や応募者の質向上につながります。

(6)認定企業限定の就職面接会等への参加

認定企業は、各都道府県労働局・ハローワークが開催する就職面接会への案内を受けられます。

これにより、正社員就職を希望する若者や即戦力人材と接する機会が増え、企業に合った人材を効率的に採用できます。

面接会では認定企業であることが応募者に伝わるため、応募者の安心感も高まります。

認定要件

中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)のうち、以下の認定要件をすべて満たすものが対象となります。

(1)学卒求人(※1)など、若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っていること(※2)
(2)若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること
(3)以下の要件をすべて満たしていること

  • 直近3事業年度の新卒者など(※3)の正社員として就職した人の離職率が20%以下(※4)
  • 「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること
  • 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと
  • 前事業年度の正社員の有給休暇の年間付与日数に対する取得率が平均70%以上または年間取得日数が平均10日以上(※5)
  • 直近3事業年度で、男性労働者の育児休業等取得者が1人以上または女性労働者の育児休業等取得率が75%以上(※6)

(4)以下の雇用情報項目について公表していること

  • 直近3事業年度の新卒者等の採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数
  • 研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定の制度の有無とその内容
  • 前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)、役員・管理職の女性割合

(5)過去に認定取り消しを受けた場合、取り消しから3年以上経過していること
(6)過去に(7)から(12)までの基準不適合により認定辞退した場合、辞退から3年以上経過していること(※7)
(7)過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと
(8)過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと(※8)
(9)暴力団関係事業主でないこと
(10)風俗営業等関係事業主でないこと
(11)雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと
(12)重大な労働関係法令違反を行っていないこと
※1 卒業後3年以内の既卒者が応募可能であること
※2 正社員:直接雇用、期間の定めなし、社内の他の労働者より高い責任を負い業務に従事する労働者
※3 新規学卒者を対象とした正社員求人または採用枠で就職した者。既卒者も新卒枠で採用した場合を含む
※4 採用者数が3~4人の場合、離職者1人以下で可。採用実績がない場合は他要件を満たせば不問
※5 有給休暇に準ずる休暇で、全員付与かつ有給であるものは1人あたり5日を上限に加算可
※6 男女とも育児休業の取得対象者がいない場合、育休制度があれば可。「くるみん認定」取得企業は3年度間不問
※7 (3)(4)の基準不適合による辞退の場合、3年以内でも再申請可
※8 離職理由に虚偽があった場合、取り消し対象となる

手続きの流れ

認定企業になるには、各都道府県労働局に申請が必要です。申請後、労働局が認定基準を満たしているかを確認し、認定通知書を交付します。

申請方法は、持参・郵送のほか、e-Govポータルサイトを利用した電子申請も可能です。

電子申請を利用する場合は、利用環境の確認・準備、電子証明書の取得、必要プログラムのインストールが必要です。

参考)ユースエール認定到達度診断

ユースエール認定到達度診断では、10問の設問に回答することで、認定到達度を簡易的に確認できます。

診断により、自社の雇用管理の状況を把握でき、認定基準を満たしていない部分を明確にして、改善方法を知ることができます。

ユースエール認定の申請前に、ぜひ、ご活用ください。

参照:ユースエール認定到達度診断

まとめ

この記事では、ユースエール認定制度の概要や認定を受ける主なメリットなどについて解説しました。

ユースエール認定制度を活用することで、若手人材の採用・育成に積極的な企業であることを対外的に示せます。

また、地方公共団体の優遇措置や公共調達の加点評価、低利融資、就職面接会への参加など、多方面でのメリットを享受できます。

認定の取得を通じて、自社の採用力や若手育成の取り組みを強化していきましょう。

参照:厚生労働省 ユースエール認定制度

※renewのサイトポリシープライバシーポリシーはこちら。

Writer

おすすめの記事

対談記事【ビジネスのヒント】|接骨院から建設業へ。驚きの経歴と経緯
続きを読む >
お役立ち2025.10.23

対談記事【ビジネスのヒント】|接骨院から建設業へ。驚きの経歴と経緯

経営に関する悩みや課題を抱える事業経営者の皆さまにとって、銀行の営業担当者は心強いサポーターの一人です。そこで、リニュー編集部では、事業経営者と西日本シティ銀行の営業担当者にスポットをあててインタビュー。サポートのきっかけや、事業の成功までの道のりなどをざっくばらんにお話しいただきます。

【今月のZero-Ten Park】株式会社ストリ|心と体に美しさと健やかさを
続きを読む >
ニュース2025.09.30

【今月のZero-Ten Park】株式会社ストリ|心と体に美しさと健やかさを

福岡を中心に世界5カ国15拠点を展開するシェアオフィス&コワーキングスペース「Zero-Ten Park」。そこに入居している、今注目したい企業をピックアップ。今回は「株式会社ストリ」をご紹介します。

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」
続きを読む >
お役立ち2023.11.21

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」

これから就職先を探している学生のみなさんにとって、どんな企業が自分にとって働きやすいのか、気になりますよね。そこで今回は、西日本シティ銀行が取り扱う次世代ワークスタイル応援私募債『ミライへの路*』を発行している企業のみなさんにご協力をいただき、その企業で実際に働いている若手の社員に直撃インタビュー。なぜ入社を決めたのか、実際に働いてみてどんな感じなのか、などをヒアリングしました。また、併せて、各企業の経営者にも、求める人材像や今後の展望などをお話しいただきました。取材に協力いただいた企業は、地元・福岡で働き方改革に注力している、優良企業ばかりです。ぜひ、就職希望先の候補の一つとして、働く先輩たちのリアルな声をご一読ください。

【ミライへの路に挑む企業】地球を守り働く人の成長を支える環境調査会社|株式会社ENJEC
続きを読む >
お役立ち2025.07.18

【ミライへの路に挑む企業】地球を守り働く人の成長を支える環境調査会社|株式会社ENJEC

多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは?この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は、九州を中心に、水質、大気、土壌といった環境にまつわる調査・分析の事業を手がける、福岡市の株式会社ENJEC(エンジェック)に取材しました。

質の高い人材紹介サービスで、企業も求職者も従業員も幸せに |株式会社GR8キャリア 小畑和貴さん
続きを読む >
インタビュー2025.06.11

質の高い人材紹介サービスで、企業も求職者も従業員も幸せに |株式会社GR8キャリア 小畑和貴さん

医療・福祉業界の人材紹介サービスをメインに事業展開する株式会社GR8(グレイト)キャリア。代表の小畑和貴さんは宮城県出身で福岡に移住し、住宅メーカーから人材紹介業界に転職したという異色のキャリアの持ち主です。創業から1年足らずでメンバーは20人ほどに増え、順調な滑り出しといえます。しかし、組織や利益の拡大は求めず、あくまでも「質の高いサービス提供」と「社員とその家族が笑顔で過ごせること」にこだわり続けたいという小畑さんに、その思いの根源や起業のストーリーを聞きました。

番組・動画制作から拠点の運営まで、幅広い事業を展開|株式会社move on.e 岩谷直生さん
続きを読む >
インタビュー2025.06.02

番組・動画制作から拠点の運営まで、幅広い事業を展開|株式会社move on.e 岩谷直生さん

20歳から放送局の番組制作に関わり、個人事業主を経て、41歳で番組と動画制作を主軸にした株式会社move on.eを設立した岩谷直生さん。長年のディレクター経験を生かして、マスメディアの番組やイベントを手掛ける一方で、子どもに向けた全く新しい事業にも意欲的にチャレンジしています。

【事業継続力強化計画認定制度】概要や認定のメリット、申請支援事業も紹介
続きを読む >
お役立ち2025.11.25

【事業継続力強化計画認定制度】概要や認定のメリット、申請支援事業も紹介

近年、地震や台風などの自然災害、感染症の流行など、企業経営を取り巻くリスクが多様化しています。 こうした中で注目されているのが、災害や緊急事態に備えて事業を継続できる体制を整える「事業継続力強化計画(BCP)」です。 この計画の認定を受けることで、補助金申請時の加点や税制優遇など、さまざまなメリットがあります。 そこでこの記事では、事業継続力強化計画認定制度の概要や認定メリットに加えて、計画策定・申請を支援する取り組みについても解説します。

【中小企業必見】最低賃金引上げに伴う負担軽減策とは?福岡県の支援策も紹介
続きを読む >
お役立ち2025.11.25

【中小企業必見】最低賃金引上げに伴う負担軽減策とは?福岡県の支援策も紹介

令和7年度の最低賃金引上げにより、全国的に人件費の負担が増加しています。特に中小企業や小規模事業者にとっては、賃上げへの対応が経営上の大きな課題となっています。 こうした状況を受け、国や自治体では、最低賃金の引上げに伴う事業者の負担を軽減するため、各種支援策を打ち出しています。 この記事では、最低賃金引上げに対応するための国の主な支援策に加え、福岡県独自の支援制度について解説します。